社労士試験の合格率って毎年6%くらいなんでしょう?
どうしてそんなに低いんですか? 受けるのやめようかな・・・
出不精ママの個人的な意見ですが、
・択一式だけだったら、合格率はヘタすると30%くらいに跳ね上がる
・択一式で合格基準点をクリアしても、選択式で振り落とされ、6%台に落ち込む
以上からズバリ、選択式が合格率を低くしている原因です。
もし社労士試験が択一式だけだったら、合格者がいっぱい出て世の中に社労士が増えすぎて困るから、選択式で振り落として調整しようって魂胆です。(もちろん試験委員に聞いたわけではなく、あくまで出不精ママの想像ですが。)
択一式・・・受験生を受からせるための試験(勉強すればするほど点数が上がり、努力が報われる試験)
選択式・・・受験生を振り落とすための試験(難問または初見問題が毎年少なからず出題され、運が左右することもありうる試験)
社労士試験 合格率の推移
まずは、社労士試験のここ10年の合格率を見てみましょう。
社労士試験 合格率(%) | |||||||||
2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
5.4% | 9.3% | 2.6% | 4.4% | 6.8% | 6.3% | 6.6% | 6.4% | 7.9% | 5.3% |
ちゃっかりくんが言う通り、過去10年の合格率は平均6%です。
選択式が合格率を6%に落ち込ませてるってことは、選択式の問題が難しいってこと?
どう難しいんですか?
では、択一式と選択式を比較してみましょう。
択一式と選択式の難易度を比較
最初に足切りを比較します。
選択式 8科目 | 択一式 7科目 |
各科目 3点以上(5点満点中) | 各科目 4点以上(10点満点中) |
総得点 25点以上(40点満点中) | 総得点 45点以上(70点満点中) |
社労士試験 合格基準点(総得点は年によって変動。選択式は科目によっては、救済制度により3点以上→2点以上となる年もある。)
表の通り、選択式・択一式ともに各科目に足切りがあるものの、択一式が4割(10問中4問)取ればよい一方、選択式は6割(5問中3問)取らなくてはいけません。4割と6割では、そもそも難易度が違います。
次は問題内容の比較です。
択一式だけなら、なぜ合格率は30%と高くなるのか?理由は、択一式の問題形式と内容にあります。
そもそも5択のうちから1つの正解を選ぶという問題形式は、当たる確率が高い。例えば、5択中1つの正解を確信すれば、残り4問は「読む必要もない」または「ざっと確認するだけでよい」し、多少うろ覚えでも文章に助けられて正解できることもあります。
過去問で例を挙げてみます。
児童手当法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
A.「児童」とは、18 歳に達する日以後の最初の 3 月 31 日までの間にある者であって、日本国内に住所を有するもの又は留学その他の内閣府令で定める理由により日本国内に住所を有しないものをいう。
B. 児童手当は、毎年1月、5月及び9月の3期に、それぞれの前月までの分を支払う。ただし、前支払期月に支払うべきであった児童手当又は支給すべき事由が消滅した場合におけるその期の児童手当は、その支払期月でない月であっても、支払うものとする。
C. 児童手当の支給を受けている者につき、児童手当の額が増額することとなるに至った場合における児童手当の額の改定は、その者がその改定後の額につき認定の請求をした日の属する月の翌月から行う。
D. 児童手当の一般受給資格者が死亡した場合において、その死亡した者に支払うべき児童手当(その者が監護していた中学校修了前の児童であった者に係る部分に限る。)で、まだその者に支払っていなかったものがあるときは、当該中学校修了前の児童であった者にその未支払の児童手当を支払うことができる。
E. 偽りその他不正の手段により児童手当の支給を受けた者は、 3年以下の懲役又は 30万円以下の罰金に処する。ただし、刑法に正条があるときは、刑法による。
誤っているもの、つまり正解はBでした。「毎年1月、5月及び9月」の部分が誤りで、「児童手当は、毎年2月、6月及び 10月の 3期に、それぞれの前月までの分を支払う。」が正しい文章です。
この「毎年2月、6月及び 10月」は過去に選択式でも出題されたことがあり、基本中の基本問題。(覚え方は「2月」と「10月」を取って「児童(じ-2・どう-10)」)
瞬時に「毎年1月、 5月及び9月」が間違っているとわかるので、もし他のA.C.D.E.の正誤判断ができなくても、B.の誤りが確信できれば、瞬殺できるってわけです。
もちろんこんな易しい問題ばかりでなく中には難解な問題もありますが、出不精ママの5年の経験では、上記の問題のように基本をしっかりと勉強しておけば、10問中4問を正解できないほどの難易度ではありません。
次は選択式の過去問です。
1. 「平成 29 年度社会保障費用統計(国立社会保障・人口問題研究所)」によると、平成 29 年度の社会保障給付費(ILO 基準)の総額は約 A. 円である。部門別にみると、額が最も大きいのは「 B. 」であり、総額に占める割合は 45.6 % となっている。
⑬100兆 ⑭120兆 ⑮140兆 ⑯160兆
⑰医療 ⑱介護対策 ⑲年金 ⑳福祉その他
正解は、A.が「⑭120兆」、B.が「⑲年金」でした。
この問題には、前後にヒントとなるキーワードはありません。特にA.は「120」という数字を正確に覚えていなければ正解できません。多分に漏れず、出不精ママも「100兆円くらい」としか覚えてなかったので「⑬100兆」を選んでしまいました。
B.に関しても常識的には正解は年金とわかりますが、近年は高齢化で医療費も膨らんでいますから、「⑰医療」と「⑲年金」で迷ってしまった人も多く、明確に覚えていなければ正解できません。
このように選択式は、「120兆円」「通算して30日」などの数字を問う問題が多く、うろ覚えでは正しい選択肢は選べません。
このため、選択式で「1点」が足らずに不合格になってしまう受験生が毎年います。この例で言えば、「年金」と「医療」の2つの選択肢のどちらかでさんざん迷って、不正解を選んでしまう人もしばしば。
同じように迷ったとしても、たまたま正解の方を選んでいた人は合格したってわけです。つまりある一定数の人は、同じ実力があっても受かることもあれば落ちることもあります。
図にまとめると、こんなカンジ。
まとめ
・ズバリ、選択式が合格率を6%と低くしている原因である。
・択一式だけなら、合格率はヘタすると30%くらいに跳ね上がる。
・択一式は足切りの10問中4問を取れないほどの難易度はないが、選択式は難問が出題されることがあり、5問中3問を取るのが難しい。