2021年8月22日(日)に令和3年度 第53回社労士試験が予定通り実施されました。
僭越ではありますが、試験経験5回の出不精ママが試験の肌感・解答分析・難易度・問題の解き方などを書きたいと思います。今回は、健康保険法の選択式です。
下記の通り、 健康保険法の選択式全体と各5問について7つの難易度に分けました。
激易 | 易 | やや易 | 普通 | やや難 | 難 | 激難 |
結論から先に言うと、健康保険法の選択式の難易度はやや易。3点は手堅く取り、できれば4点を狙いたいです。
健康保険法の選択式 A 内容は特定保険料率
健康保険法第156条の規定による一般保険料率とは、基本保険料率とA とを合算した率をいう。基本保険料率は、一般保険料率からA を控除した率を基準として、保険者が定める。
⑮ 調整保険料率 ⑯ 特定保険料率 ⑲ 標準保険料率 ⑳ 付加保険料率
正解は⑯特定保険料率でした。
上記の問題文を計算式に直してみると、下記にように単純な計算式になります。条文ってわかりにくいですよね。
一般保険料率 = 基本保険料率 + 特定保険料率 (一般保険料率とは、基本保険料率と特定保険料率とを合算した率をいう。健保法156条)
基本保険料率 = 一般保険料率 - 特定保険料率 (基本保険料率は、一般保険料率から特定保険料率を控除した率を基準として、保険者が定める。健保法160条)
基本保険料率は、先に一般保険料率と特定保険料率が決まってから、引き算して決まるんですね。
保険料率はテキストにも載っているし基本事項だと思うので、この問題はやや易とします!
健康保険法の選択式 B・C 内容は引き続いて特定保険料率
A は、各年度において保険者が納付すべき前期高齢者納付金等の額及び後期高齢者支援金等の額(全国健康保険協会が管掌する健康保険及び日雇特例被保険者の保険においては、B 額)の合算額(前期高齢者交付金がある場合には、これを控除した額)を当該年度における当該保険者が管掌する被保険者のC の見込額で除して得た率を基準として、保険者が定める。
⑨ 総報酬額 ⑩ 総報酬額の総額
⑪ その額から健康保険法第 153 条及び第 154 条の規定による国庫補助額を控除した
⑫ その額から特定納付金を控除した
⑬ その額に健康保険法第 153 条及び第 154 条の規定による国庫補助額を加算した
⑭ その額に特定納付金を加算した
⑰ 標準報酬月額の総額 ⑱ 標準報酬月額の平均額
Bの正解は⑪その額から健康保険法第 153 条及び第 154 条の規定による国庫補助額を控除した、Cは⑩総報酬額の総額でした。
BとCは、「特定保険料率は、どんなふうに決まるの?」という出題です。特定保険料は、一言で言ってしまえば「高齢者への仕送りのために被保険者から徴収する保険料」です。
特定保険料率についも、問題文ではわかりにくいので計算式で表してみます。
特定保険料率=(前期高齢者納付金等+後期高齢者支援金等の額)÷ 総報酬額の総額の見込額
協会けんぽの場合の特定保険料率={(前期高齢者納付金等+後期高齢者支援金等の額)- 国庫補助額 } ÷ 総報酬額の総額の見込額
(この率を基準として保険者が定める。 健保法160条)
まずBですが、国庫補助は健康保険組合にはないけど、協会けんぽに対しては行われているという基本事項を知っていなければなりません。
「協会けんぽが納付すべき前期高齢者納付金等の額及び後期高齢者支援金等の額」は「国庫補助の額」により仕送りの負担が減るわけですから、上記の計算式の通り「マイナス」つまり「控除」するものですよね。したがって、 ⑪その額から健康保険法第 153 条及び第 154 条の規定による国庫補助額を控除したが正解です。
「健康保険法160条」は、選択式で出題頻度が高いですね。来年以降も要注意!択一式で出る可能性もあるし!
この問題の難易度は普通とします。
Cは、「⑨総報酬額」と「⑩総報酬額の総額」の2択で迷うところです。では、この2つの違いは?
総報酬額 各被保険者の標準報酬月額+標準賞与額
総報酬額の総額 保険者が管掌する被保険者全員の標準報酬月額+標準賞与額の合計
上記の通り、2つの用語を正確に理解していないと、できない問題です。
この問題はちょっと難しいので、 やや難とします!
健康保険法の選択式 D・E 内容は標準報酬月額の改定
毎年3月31日における標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の被保険者総数に占める割合が 100 分の 1.5 を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年のD から、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる。ただし、その年の3月31日において、改定後の標
準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の同日における被保険者総数に占める割合がE を下回ってはならない。
① 6 月 1 日 ② 8 月 1 日 ③ 9 月 1 日 ④ 10 月 1 日
⑤ 100 分の 0.25 ⑥ 100 分の 0.5 ⑦ 100 分の 0.75 ⑧ 100 分の 1
Dの正解は③9月1日、Eの正解は⑥100分の0.5でした。
どのスクールのテキストにも載っている条文の重要キーワードです。基本問題なので、D・Eとも激易とします!
まとめ
A | B | C | D | E | 全体 |
やや易 | 普通 | やや難 | 激易 | 激易 | やや易 |
・全体としては、やや易。
・作戦としては、DとEで確実に2点取り、AとBとCのうちで1~2点取りたい。
以上の内容は出不精ママの個人的な感想であり、解き方や合格を確約するものではありませんので、ご了解ください。