社労士試験は何回も落ちる人がいて難易度が高いって聞きますけど、実際どうなんですか?
受けようかどうか迷っています。
合格までの受験回数は、平均3回といわれています。
何を持って難易度を比較するのかにもよりますが、3つにまとめます。
1.試験内容については、難易度は低い
2.各科目に足切りがある点では、難易度は高い
3.ただし選択式の一般常識のみ、内容も難易度が高い
1つずつ説明します。
社労士試験 内容については難易度は低い
なぜ試験内容は難易度が低いのかというと、社労士試験の問題の7割が単に暗記していれば解ける問題だからです。しかも数字を問う問題が全体の3割です。
例えば〇日以内、〇か月間、通算して〇日、継続〇か月など。
応用問題や計算問題はほとんど出題されず、問題形式は全問マークシートで筆記や小論文はありません。(昔は筆記もあったそうですが。)
詳しくは、下記の記事をご覧ください。
なぜ〇日以内、〇か月間、通算して〇日、継続〇か月など、ストレートに数字を問う問題が多いんでしょうか?
これは社労士の実務を考えればわかります。社労士法2条に社労士の業務を規定していますが、条文が長いので下記の表に簡単にまとめました。
業務 | 業務内容 | 業務詳細 | 備考 |
1号業務 | ①申請書等の作成事務 | 労働社会保険諸法令に基づいて行政機関等に提出する申請書等の書類を作成すること | 社労士でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、業として行ってはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りではない。 |
②提出代行事務 | 申請書等について、その提出に関する手続きを代行すること | ||
③事務代理 | 労働社会保険諸法令に基づく申請等について、又はその申請等に係る行政機関等の調査若しくは処分に関し当該行政機関等に対して行う主張若しくは陳述について、代理すること | ||
④紛争解決手続代理業務 | 都道府県労働局の紛争調整委員会における個別労働関係紛争のあっせん手続代理等 | ||
2号業務 | 帳簿書類の作成事務 | 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類等を作成すること(①の申請書等を除く) | |
3号業務 | コンサルティング業務 | 事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること | 社労士以外の者も行うことができる。 |
1号業務と2号業務は、社労士の独占業務です。
たとえば、健康保険と厚生年金保険の事業主・被保険者の届出期限は原則5日以内、雇用保険では原則10日以内。「5日以内」「10日以内」という数字が常に頭に入っていて、聞かれたらスパッと答えられるようでなければ、事業主の届出を代行する社労士としては失格ですよね。(実務もこの通りとは言いませんが。)
も一つ例をあげると、お客様(クライアント)や従業員から質問された時、
来月退職予定の従業員、65歳を過ぎてるんですが失業手当ってもらえるんですか? もらえるとしたら、いくらくらいですか?
もちろん65歳以上でも、要件を満たしていればもらえますよ。ただし一時金です。支給額は基本手当日額の40日?50日? あれ?どっちだったけ?
心の声(この人ホントに社労士? 大丈夫?)
このようにつぶやかれてしまったら、社労士としてはちょっと情けないです。
高年齢求職者給付金ですね。支給額は、算定基礎期間が1年未満なら基本手当日額の30日分、1年以上なら50日分です。
このようにスパッと答えたいものです。(覚え方は、65歳以上でもう失業手当をもらうのもたぶん最後だから、さいご(30・50)の給付。)
社労士試験の試験委員に聞いたわけではありませんが、試験でも「原則5日以内」「1年以上なら50日」といった数字が「パッと頭に浮かんで解答できるようでなければ、合格させてあげないよ」ってことではないでしょうか。
話を元に戻すと「〇日以内に届出」などの数字は、とにかく覚えていれば正解できますから、「私は頭が悪い」と思っている人でも繰り返し覚えれば、問題は解けるはずです。
だから問題を見たとたん、覚えていれば秒で正解がわかります。覚えていなければ、それでアウトです。(マークシートだから当たる確率はありますが。)
ただし、
・覚える量が多い
・各科目に似て非なる用語があるので混同してしまう
という点はありますが、それは「難しい」のではなく「覚えられない」ということです。
受けるかどうか迷っているのなら、「暗記がすごく苦手!」という人は、実務経験がある人以外は苦戦するかも。
各科目に足切りがある点では難易度は高い
社労士試験には17個の足切りが設定されています。各科目に足切りがあることが、社労士試験の難易度を高くしていることは確かです。詳しくは下記の記事をご覧ください。
ただし択一式の足切りについては、10点満点中の4点なので難易度は高くないです。試験内容に関しても、テキストの内容を普通に勉強していれば、10点中4点はいずれクリアできます。
中には難問や奇問もありますが、その手の問題に時間をかけたり、気にしすぎないよう注意してください。
出不精ママの5年の経験から言えば、択一式に関しては基本的な部分を確実に正答できれば、合格点に達するはずです。
4点取れない人は単に勉強不足で覚えていないか、勉強方法を間違えている人だと思います。択一式は勉強すればするほど点数があがりますから、努力が報われる試験と言っていいでしょう。
問題は選択式の方です。ズバリ選択式が難易度を上げています。
そもそも択一式は「10点中の4点」ですが、選択式は「5点満点中の3点」を死守しなければならないからです。(科目によっては、救済で2点になる年もあり。)
選択式の一般常識のみ、難易度も高い
選択式の5点中の3点の足切りに加え、選択式の労働一般常識と社会保険一般常識は「一般常識」というだけあって、出題範囲が広くどんな問題が出るか予想がつきません。(ただし5問中の2~3問)
つまり、テキストの範囲を超えた初見の問題が出るんです。難しいって言うより、知らない問題が出るって言った方が正確かもしれません。
毎年各スクールが作る直前予想問題も、一般常識に限ってはほぼ当たらないと思って望んだ方がいいでしょう。
社労士試験の最大の難関は、選択式の一般常識にあると言っても過言ではありません。(出不精ママが受験したここ5年の傾向ですが)
「この1点をミスったために・・・」という人は、出不精ママも含めて毎年かなりの数いるはずです。(出不精ママの場合は、2年連続で一般常識が1点足らずに不合格)
社労士試験の平均受験回数は3回と言われていますが、合格体験記を眺めていると、「5回、7回、10回目で合格」って人もけっこう見かけます。出不精ママも含めこういう人たちは、「選択式1点」にハマってしまった人たちではないでしょうか。
脅かしてしまったようですが、大丈夫。社労士試験は相対評価なので、みんなできなければ2点救済の可能性もあります。
長くなったので、選択式を解くコツはまたの機会に少しずつお話しします。
まとめ
・選択式各科目に5点中3点の足切りがあるという点では、難易度は高い。
・試験の内容については全般的に難易度は低い。なぜなら単に暗記していれば正解できる問題がほとんどだから。
・ただし選択式の一般常識は、出題範囲が広くどんな問題が出るか予想がつきにくいので、内容も難易度が高い。