2021年8月22日(日)に令和3年度 第53回社労士試験が予定通り実施されました。
僭越ではありますが、試験経験5回の出不精ママが試験の肌感・解答分析・難易度・問題の解き方などを書きたいと思います。今回は、労働者災害補償保険法の選択式です。
下記の通り、 労災保険法の選択式全体と各5問について7つの難易度に分けました。
激易 | 易 | やや易 | 普通 | やや難 | 難 | 激難 |
結論から先に言うと、労災保険法の選択式の難易度は易。3点は手堅く取り、4点もいけるかな?と感じました。
労災保険法の選択式 A 内容は複数事業労働者の範囲
複数事業労働者については、労災保険法第 7 条第 1 項第 2 号により、これに類する者も含むとされており、その範囲については、労災保険法施行規則第5条において、A と規定されている。
⑰ 負傷、疾病、障害又は死亡の原因又は要因となる事由が生じた時点以前1か月の間継続して事業主が同一人でない 2 以上の事業に同時に使用されていた労働者
⑱ 負傷、疾病、障害又は死亡の原因又は要因となる事由が生じた時点以前3か月の間継続して事業主が同一人でない 2 以上の事業に同時に使用されていた労働者
⑲ 負傷、疾病、障害又は死亡の原因又は要因となる事由が生じた時点以前6か月の間継続して事業主が同一人でない 2 以上の事業に同時に使用されていた労働者
⑳ 負傷、疾病、障害又は死亡の原因又は要因となる事由が生じた時点において事業主が同一人でない2以上の事業に同時に使用されていた労働者
正解は⑳負傷、疾病、障害又は死亡の原因又は要因となる事由が生じた時点において事業主が同一人でない2以上の事業に同時に使用されていた労働者でした。
間近の改正からの出題、しかも選択式で出るとは珍しい!
「傷病等の要因となる出来事」と「傷病等の発症の時期」が必ずしも一致するとは限らないので、傷病等が発症した時にすでに複数事業労働者に該当しなかったとしても、因果関係が認められる期間の範囲内で複数事業労働者に当たるかを判断してあげるよってことです。
ちょっと細かい内容だけど、最新の改正事項でみんな勉強していたと思うから、この問題はやや易とします!
労災保険法の選択式 B 内容は複数業務要因災害に係る事務の所轄
複数業務要因災害に係る事務の所轄は、労災保険法第条7第1項第2号に規定する複数事業労働者の2以上の事業のうち、B の主たる事務所を管轄する都道府県労働局又は労働基準監督署となる。
⑬ その収入が当該複数事業労働者の生計を維持する程度の最も高いもの
⑭ 当該複数事業労働者が最も長い期間勤務しているもの
⑮ 当該複数事業労働者の住所に最も近いもの
⑯ 当該複数事業労働者の労働時間が最も長いもの
正解は⑬その収入が当該複数事業労働者の生計を維持する程度の最も高いものでした。
Aに続いて、改正からの出題です。
複数事業労働者に関する保険給付を扱うので、事務の所轄についても複数の都道府県労働局及び労働基準監督署が関係する場合が想定されます。そのため複数業務要因災害に係る事務の所轄は、生計を維持する程度の最も高い事業の主たる事務所を管轄する局又は署とし、混乱しないようにしているわけですね。
生計を維持する程度の最も高い事業の主たる事務所とは、原則として複数就業先のうち給付基礎日額の算定期間における賃金総額が最も高い事業場を指します。
この問題も最新の改正事項だからみんな勉強していたと思うので、 やや易とします!
労災保険法の選択式 C 内容は年金の支給停止期間
年金たる保険給付は、その支給を停止すべき事由が生じたときは、C の間は、支給されない。
⑨ その事由が生じた月からその事由が消滅した月まで
⑩ その事由が生じた月の翌月からその事由が消滅した月まで
⑪ その事由が生じた日からその事由が消滅した日まで
⑫ その事由が生じた日の翌日からその事由が消滅した日まで
正解は⑩その事由が生じた月の翌月からその事由が消滅した月まででした。
① 年金たる保険給付の支給は、支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、支給を受ける権利が消滅した月で終わるものとする。
② 年金たる保険給付は、その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた月の翌月からその事由が消滅した月までの間は、支給しない。
どのスクールのテキストにも、この条文は給付通則の章に載っているし、重要キーワードです。
基本問題なので、激易とします!
労災保険法の選択式 D 内容は遺族補償年金を受けることができる遺族の年齢
遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとする。ただし、妻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。以下同じ。)以外の者にあっては、労働者の死亡の当時次の各号に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。
一 夫(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。以下同じ。)、父母又は祖父母については、D 歳以上であること。
①15 ②16 ③18 ④20 ⑤55 ⑥60 ⑦65 ⑧70
正解は ⑥60 でした。
当然ながら、⑤55と⑥60で迷った人が多かったことでしょう。特に「附則では」などの断り書きもなかったし、素直に本則の条文通りだから 、⑥60 を選べばよかったのかもしれません。
でも 「遺族補償年金を受けることができる遺族」といえば、やっぱり ⑤55歳からが正解のような気もするし・・・。
この手の問題が出題されたら、「書いてないことにはこだわらず、素直に本則の方を選んだ方がいい」と覚えておきましょう。
したがって、この問題はやや難とします!
労災保険法の選択式 E 内容はDに引き続き遺族補償年金を受けることができる遺族の年齢
(省略)
二 子又は孫については、E 歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること。
三 兄弟姉妹については、E 歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること又はD 歳以上であること。
①15 ②16 ③18 ④20 ⑤55 ⑥60 ⑦65 ⑧70
正解は③18でした。
この問題は言わずもがな基本中の基本問題なので、激易とします!
まとめ
A | B | C | D | E | 全体 |
やや易 | やや易 | 激易 | やや難 | 激易 | 易 |
・全体としては、易。
・作戦としては、BとCとEで確実に3点取りたい。Aも取れれば、なおよし!
・Dは、もし取れなくてもOK!「書いてないことにはこだわらず、素直に本則の方を選んだ方がいい 」という来年以降の試験の教訓を学んだ!
以上の内容は出不精ママの個人的な感想であり、解き方や合格を確約するものではありませんので、ご了解ください。