2021年8月22日(日)に令和3年度第53回社労士試験が、予定通り実施されました。
僭越ではありますが、試験経験5回の出不精ママが試験の肌感・解答分析・難易度・問題の解き方などを書きたいと思います。今回は、社会保険に関する一般常識(以下、社会保険一般常識または社一)の選択式です。
下記の通り、 社一の選択式全体と各5問について、7つの難易度に分けました。
激易 | 易 | やや易 | 普通 | やや難 | 難 | 激難 |
結論から先に言うと、社一の選択式の難易度はやや難。
5問とも法令からの出題。今年は労一が激難だった分、社一はかろうじてテキストに載っている内容で、例年に比べると少し易しくなった気がします。
ですが、テキストをきちんと読んでいる人でも、うっかりすると見落としてしまうようなイヤなところをついてますね。
社会保険一般常識の選択式 A・B 内容は国民健康保険法の保険料について
市町村(特別区を含む。以下本問において同じ。)は、当該市町村の国民健康保険に関する特別会計において負担するA に要する費用(当該市町村が属する都道府県の国民健康保険に関する特別会計において負担する前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等並びに介護納付金の納付に要する費用を含む。)、財政安定化基金拠出金の納付に要する費用その他のB に充てるため、被保険者の属する世帯の世帯主(当該市町村の区域内に住所を有する世帯主に限る。)から国民健康保険の保険料を徴収しなければならない。ただし、地方税法の規定により国民健康保険税を課するときは、この限りでない。
⑩ 国民健康保険事業に要する費用 ⑪ 国民健康保険事業費納付金の納付 ⑫ 国民健康保険保険給付費等交付金の交付 ⑬ 地域支援事業等の調整額の交付 ⑭ 特定給付額及び特定納付費用額の合算額の納付 ⑮ 特定健康診査等に要する費用 ⑯ 特別高額医療費共同事業拠出金に要した費用 ⑳ 療養の給付等に要する費用
Aの正解は⑪国民健康保険事業費納付金の納付、Bの正解は⑩国民健康保険事業に要する費用でした。
国民健康保険法 第76条からの出題。
社一の中でも出題頻度の高い国民健康保険法。テキストを読み込んでいた人でも、なんとなく読み流してしまいそうな箇所です。
Aに関しては、「前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等並びに介護納付金の納付に要する費用を含む 」という部分をヒントにして「納付金のことを言っているんだ」と分かれば、 ⑪国民健康保険事業費納付金の納付を選びやすいと思います。
Bに関しても、直前の「その他の」という言葉をヒントに文脈から、
- 国民健康保険事業費納付金の納付に要する事業
- 財政安定化基金拠出金の納付に要する費用
- その他の費用
「この3つが全体として国民健康保険事業に要する費用である」と分かれば選びやすいですね。
テキストには載っているけど、選択式としては意識しにくい箇所なので、やや難とします。
社会保険一般常識の選択式 C 内容は船員保険法の行方不明手当金
船員保険法第93条では「被保険者が職務上の事由により行方不明となったときは、その期間、C に対し、行方不明手当金を支給する。ただし、行方不明の期間が一月未満であるときは、この限りでない。」と規定している。
⑨ 遺 族 ⑰ 配偶者又は子 ⑱ 被扶養者 ⑲ 民法上の相続人
正解は⑱被扶養者でした。
船員保険法第93条 行方不明手当金から出題。
船員保険独自の給付である行方不明手当金自体は基本事項ですが、「誰に対して支給されるか」を聞いてくるとは・・・テキストを読み込んでいた人は正解できたかもしれませんが、選択式としては意識しにくいキーワード。痛いところをついてきますね!
行方不明はまだ亡くなったわけではないので「⑨遺族」と「⑲民法上の相続人」は消去し、「⑰配偶者又は子」と「⑱被扶養者」の2択には絞れます。
この問題も、テキストには載っているけど選択式としては意識しにくいキーワードなので、やや難とします。
社会一般常識の選択式 D 内容は児童手当法の認定の請求期限
児童手当法第 8 条第 3 項の規定によると、同法第 7 条の認定をした一般受給資格者及び施設等受給資格者(以下本問において「受給資格者」という。)が住所を変更した場合又は災害その他やむを得ない理由により同法第7 条の規定による認定の請求をすることができなかった場合において、住所を変更した後又はやむを得ない理由がやんだ後D 以内にその請求をしたときは、児童手当の支給は、同法第 8 条第 2 項の規定にかかわらず、受給資格者が住所を変更した日又はやむを得ない理由により当該認定の請求をすることができなくなった日の属する月の翌月から始めるとされている。
④ 15 日 ⑥ 25 日 ⑦ 35 日 ⑧ 45 日
正解は④15日でした。
児童手当法 第8条の支給及び支払いからの出題。
やむを得ない理由により認定の請求をできなかった場合に、やむを得ない理由がやんだ後「何日以内に請求すればいいの?」という問題。
児童手当法は、選択式でも択一式でも、ホントによく出題されますよね!
細かいところからの問題ですが、児童手当法自体が出題頻度高いし、「15日以内」という数字だから、選択式のキーワードとして意識して覚えていた人も多かったかもしれません。
ストレートに数字を問う問題だから、覚えていないと正解できません。社労士試験は、正確な暗記が肝心!
テキストに載っているし、この問題は普通とします!
社会一般常識の選択式 E 内容は確定給付企業年金 脱退一時金の要件
確定給付企業年金法第41条第3 項の規定によると、脱退一時金を受けるための要件として、規約において、E を超える加入者期間を定めてはならないとされている。
① 3 年 ② 5 年 ③ 10 年 ⑤ 15 年
正解は①3年でした。
児童手当法に引き続き、ストレートに数字を問う問題。
確定給付企業年金法と確定拠出型年金も、近年よく出題されますね。
数字だから選択式のキーワードとして意識して覚えていた人もいたかもしれませんが、目立たないマイナーな箇所なので、やや難とします。
まとめ
A | B | C | D | E | 全体 |
やや難 | やや難 | やや難 | 普通 | やや難 | やや難 |
・全体としては、やや難。なんとか3点とれるかな?というレベル。
・今回は5問ともテキストをなにげなく読んでいるだけでは取れない、痛いところをついている。
・一般常識はマイナーな科目だが、手を抜かず、選択式を意識したテキスト通読が必要。社労士試験は、正確な暗記が肝心! (深入りは禁物だが)
以上の内容は出不精ママの個人的な感想であり、解き方や合格を確約するものではありませんので、ご了解ください。