やってはいけない勉強法、2つ目は何ですか?
2つ目は、苦手科目や手薄になる科目があることです。
苦手科目や手薄になる科目があることは命取り
理由は簡単で、社労士試験には全科目に足切りがあるからです。
下記の表をご覧ください。
試験科目 | 選択式 | 択一式 |
労働基準法・労働安全衛生法 | 3点(5点) | 4点(10点) |
労災保険法・徴収法 *徴収法は択一式のみ | 3点(5点) | 4点(10点) |
雇用保険法・徴収法 *徴収法は択一式のみ | 3点(5点) | 4点(10点) |
労働一般常識 | 3点(5点) | 4点(10点) |
社会保険一般常識 | 3点(5点) | |
健康保険法 | 3点(5点) | 4点(10点) |
厚生年金保険法 | 3点(5点) | 4点(10点) |
国民年金法 | 3点(5点) | 4点(10点) |
総得点 *年によって変動あり | 25点前後(40点) | 45点前後(70点) |
社労士試験 合格基準点(カッコ内は満点)
・選択式で各8科目3点以上(労基法/安衛法・労災法/徴収法・雇用法/徴収法・労働一般・社会一般・健保法・国年法・厚生法) ただし難易度が高い年は、科目によっては救済があり2点以上が合格基準になることもある。
・択一式で各7科目4点以上(労基法/安衛法・労災法/徴収法・雇用法/徴収法・労働一般/社会一般・健保法・国年法・厚生法)
・選択式総得点 年によって変動があるが、だいたい25点前後。
・択一式総得点 年によって変動があるが、だいたい45点前後。
このように社労士試験には、合計17個の足切りが設定されています。
そのためすごく得意な科目があって満点を取って稼いでも、苦手な科目が1科目でもあればそれでアウト!
逆にすごく得意な科目はなくてもいいから、全科目まんべんなくそこそこできることが合格には必須ってわけです。
1つの科目の中でも注意!苦手または手薄な範囲を作るな!
「科目によって得手不得手があるのは命取りだ」ということはわかっていただけたと思いますが、もう1つ注意しなければならないことがあります。
それは、さらに1つの科目の中でも苦手または手薄な範囲を作ってしまうことです。
過去問で例を挙げて説明しましょう。
使用者は、常時 10 人以上の労働者を就業させる事業、厚生労働省令で定める危険な事業又は衛生上有害な事業の附属寄宿舎を設置し、移転し、又は変更しようとする場合においては、労働基準法第 96 条の規定に基づいて発する厚生労働省令で定める危害防止等に関する基準に従い定めた計画を、 A. に、行政官庁に届け出なければならない。
ピンクのマーカー部分が空欄でした。選択肢は下記の4つ。
⑪ 工事着手後 1 週間を経過するまで
⑫ 工事着手 30 日前まで
⑬ 工事着手 14 日前まで
⑭ 工事着手日まで
正解は「⑬工事着手 14 日前まで」でした。
この内容はテキストに載っているし、一見、覚えていれば秒で解ける難易度の低い問題です。それなのにこの問題が「合否を分ける1問」になってしまった人も多いと聞きます。
ではなぜこの問題が「合否を分ける1問」になったんですか?
最初に答えを言ってしまうと、
・この内容はテキストの最後尾に載っている
・各スクールがこの内容を出題ランク「低」に指定している
からです。
こういう経験はないでしょうか?
最初は「よしっっやるぞ!」と意気込んでテキストを勉強し始めて、最初から2~3章は真面目に取り組んでいたけど、次第にやる気がなくなってきて中断してしまう。少ししてから「これではいけない」と考え直し、また最初の章から勉強し始めるので、結局、テキストの前の方だけ詳しくなってしまった。
しかもこの問題の内容は、寄宿舎に関するものです。寄宿舎はスクールのテキストではたいてい最後の章に載っていて、しかも「第10章その他」とかの1項目になってしまうようなマイナーな内容なんです。
各スクールの出題ランクもせいぜい☆2つ、「できれば押さえておきたい項目」程度。
ただでさえ他に覚えなくてはならないことがいっぱいあり、仕事で忙しい社会人受験生にしてみれば、「たぶん出ないだろう」という油断が生まれるのは否めません。
そう、その油断から、合否を分けた1問になってしまった人は、
・寄宿舎に関しては全く勉強していなかった人、または
・勉強していたとしても手薄になってしまい、うろ覚えだった人
(おそらく「⑫工事着手 30 日前まで」と「⑬工事着手 14 日前まで」のどちらかで迷って「⑫工事着手 30 日前まで」を選んでしまった)
のどちらかと推測できます。その油断を突いた「こりゃやられたわ」問題です。
他の記事でも書きましたが、選択式は受験生を振り落とそうとして作っています。
試験委員の方々の、
きっと寄宿舎あたりは勉強してない人いるだろうな~
このあたりで少し振り落とそうか~ ヤマ当ては許さないよ~
って声が聞こえてきそうです。
この問題は1つの例ですが、出不精ママの感覚では選択式が抜かれる内容は労働基準法に限らず、テキストの後ろの方から出ることが多いと感じました。
繰り返しになりますが、
・たとえテキストの後ろの方に載っていても、
・出題ランクが低いマイナーな内容であっても、
決してノーベンにしてはいけません。
もちろん重箱の隅をつつくような勉強法は避けたいですが、時間のない人でもキーワードだけはしっかり記憶し、うろ覚えで終わらせないようにしましょう!
でないと、合否を分ける1問になってしまうかもしれません!
まとめ
・社労士試験には17個の足切りが設定されている。苦手科目や手薄になる科目があることは命取り。「全科目まんべんなくそこそこできることが合格には必須」と肝に銘じよう!
・さらに1つの科目の中でも、苦手または手薄な範囲を作ってはいけない!
・テキストの後ろの方に載っていても、出題ランクが低い内容であっても、キーワードだけはしっかり記憶しておこう! 試験委員はそこを狙っている!