どうして全体像をつかむんですか?
細部に入る前に全体像や全体の流れをつかんでおくと、記憶や理解が定着しやすいからです。
初学者の頃は特に、テキストを読んでいるといろんな疑問にぶち当たります。つい立ち止まって、細かいところを何度も読んだり調べたり。
しかもそのほうが「やっとわかったぞ!あー勉強した!」と、勉強した気になってしまうからやっかいです。よくよく見たら、数ページしか進んでいなかった・・・。
確かに疑問を持つとこは良いことだし、調べたことはエピソード記憶として残るという利点はありますが、「時間に余裕があれば」の話。
出不精ママの受験生時代、スクールの講師の方々が口をそろえて言っていたのを思い出します。
初めてテキストを読むときは、細かい個所や疑問にこだわらず全体を把握するように読んでください。
これはなぜか?一緒に考えてみましょう!
全体像をつかむことには、利点がいっぱい!
社労士試験だけでなく他の試験にも言えそうですが、全体像をつかむことには以下の利点があります。
- 全体像には図・表・イラストが多く、視覚的に覚えやすい
- 頭の中で全体をイメージしながら勉強した方が、記憶を取り出す時もスムーズ
- 最初から細部に入り1回で理解しようとすると、時間がかかり挫折しやすい
- 全体がわかっていると計画が立てやすい
- どこまで勉強したかを常に把握できると、脳はストレスを感じにくい
じゃあ、細かいところは、いつ学習するんですか?
とてもわかりやすい専門家のたとえがありますので、紹介します。「森にたとえた読み方」です。
1冊を3回見て、記憶力を増やす方法(森林調査でたとえた読み方)
1回目 森全体がどうなっているか
目次や見出しを見ながら、どこに何が書かれているかを確認する2回目 それぞれの木がどのようになっているか
それぞれの見出しに対する結論がどこに書かれているかを確認する3回目 木についている実がどのようになっているか
本文中でよく使われている言葉を確認する1冊を3時間で1回読むよりも、1冊を1時間で3回見ることで、記憶に残る量は増える
速読日本一が教える すごい読書術――短時間で記憶に残る最強メソッド 角田和将より引用
「同じ3時間でも、1冊を1回でじっくり読むより3回に分けて徐々に細部に落とし込んでいくほうが、理解も記憶も効率的」ってことですね!
社労士試験では特に、細部にこだわらないほうが効率が良いと出不精ママは思います。
その理由を、次にお話ししましょう。
社労士試験では特に細部にこだわらないほうがよい理由
他の記事でも何回か言っていますが、出不精ママは、社労士試験をこう考えています。
- 社労士試験は考えさせる問題(応用問題や計算問題)がほとんど出題されない。もちろん筆記や小論文もない。
- 7~8割は単に暗記しているだけで解ける問題。しかもストレートに数字を問う問題が全体の3割。
- 社労士試験は、ざっくり言うと全体の7割正解すれば合格するので、暗記しているだけで合格する。(もちろん理解や理屈も必要だが。)
過去問で例をあげてみます。
2 厚生年金保険法第44条の3第1項の規定によると、老齢厚生年金の受給権を有する者であってそのB 前に当該老齢厚生年金を請求していなかったものは、実施機関に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができるとされている。ただし、その者が当該老齢厚生年金の受給権を取得したときに、他の年金たる給付(他の年金たる保険給付又は国民年金法による年金たる給付(C を除く。)をいう。)の受給権者であったとき、又は当該老齢厚生年金のB までの間において他の年金たる給付の受給権者となったときは、この限りでないとされている。
⑪ 受給権を取得した日から起算して1か月を経過した日
⑫ 受給権を取得した日から起算して1年を経過した日
⑬ 受給権を取得した日から起算して5年を経過した日
⑭ 受給権を取得した日から起算して6か月を経過した日
⑰ 付加年金及び障害基礎年金並びに遺族基礎年金
⑱ 老齢基礎年金及び障害基礎年金並びに遺族基礎年金
⑲ 老齢基礎年金及び付加年金並びに遺族基礎年金
⑳ 老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金
正解は、Bは⑫受給権を取得した日から起算して1年を経過した日 、Cは⑳老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金でした。
老齢厚生年金の繰り下げからの出題。
まずBを正解するには、どんな知識が必要でしょうか?
言わずもがな、「老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができるのは 受給権を取得した日から起算して 1 年を経過した日 」の「1年」という数字を正確に覚えていれば正解できます。他の選択肢が 「1か月」「6か月」「5年」ですからね。
あれ・・・?「1か月」だったけ「6か月」だったけ?
なんて具合に、うろ覚えだったら間違った選択肢を選んでしまいます。
Cについても、「すでに他の年金たる給付の受給権者だったら繰り下げはできないんだけど、他の年金給付ってな~んだ?」と聞いているわけですが、他の年金給付の名称を正確に覚えていなければ正解できません。
つまり、「理解とか理屈よりも数字や用語をうろ覚えでなく正確に覚えていることのほうが、社労士試験には重要」って言いたいんですね?
そうです。社労士試験に小論文や筆記があれば、また話は別ですが。
たとえば、厚生年金法の問題が・・・
受給権者が老齢厚生年金の繰り下げをする利点を2つあげて、300字以内で簡潔に説明しなさい。
他の年金たる給付の受給権者である場合、老齢厚生年金の繰り下げが不可となる理由を500字以内で述べよ。
上手な例でなくてすみませんが、要するに社労士試験の問題がこんなふうに自分で考えて正解を導き出さなければならない筆記や小論文だったら、もっと深く細かく学習する必要あるかもしれません。
冒頭で述べた通り、スクールの講師の方々が口をそろえて言っていた、
初めてテキストを読むときは、細かい個所や疑問にこだわらず全体を把握するように読んでください。
という理由がわかりましたね。
疑問を持つのはいいことだし理解や理屈は全く必要ないとは言いませんが、なにせ社労士試験は理屈抜きに覚える量が大量です。
「社労士試験に合格する」ことは身も蓋もない言い方ですが、あくまで手段にすぎません。
ならば、テキスト内でよく出題されるキーワードを意識して効率よく繰り返し覚えることのほうが優先順位は高いはずです。
記憶に重要なのは「回数」。
用語・期間・時間などのキーワードを意識しながら何回も繰り返し、覚える。細部の理解や理屈は、そのあと時間に余裕があればやりましょう。
わかりました。ワーキングマザーのわたしにとって、時間に余裕なんてありませんからね。
ところで最初のほうで、「全体像には図・表・イラストが多く、視覚的に覚えやすい 」とおっしゃってましたが、社労士試験にはどんな全体像があるんですか?
イメージが湧かないんですけど。目次を見ろってことですか?
長くなってしまったので、また別の記事でお話ししましょう。
まとめ
・全体像をつかむことには、利点がいっぱい!初めてテキストを読むときは特に、細かい個所や疑問にこだわらず全体を把握するように読もう。
・なぜなら、理解とか理屈よりも数字や用語をうろ覚えでなく正確に覚えていることのほうが、社労士試験には重要だから。
・ 用語、期間、時間などのキーワードを意識しながら何回も繰り返し、覚え、うろ覚えをなくそう!細部の理解や理屈は、そのあと時間に余裕があればやろう!